生まれや気質の違いゆえに心の通わない中年夫婦が、夫の南米行きを契機に互いの絆を確認しあう。日本を代表する巨匠・小津安二郎の野心作。 戦時中に検閲当局から却下された脚本を改めて取り上げた因縁の作品だけあって、ユーモアが見事に織り交ぜられた秀作となっている―――ふたりは倦怠期を迎えた中年夫婦。妻・妙子は、お嬢様育ちが抜け切れず、派手に遊び回る毎日。一方、夫・茂吉は生活が豊かになった今でも、質素な生活を続けていた。そんなふたりも、実は互いに理解し合えない淋しさを感じているのだった……。性格の異なる夫婦の愛情を、ふたり揃って食べたお茶漬の味に見出すという、小津監督独特の切り口が味わい深い。(C)1952 松竹株式会社 ( Amazon )